2023年07月26日
2023年7月 北岳登山 その3
【2日目】
前日は日没前に就寝。
肩ノ小屋まで上がってきてもauの電波は弱く、スマホはほぼ役に立たず。
ガスで景色も見えないので、昨日の午後はほとんど何もすることが無かった。
それでも、テントを張った場所は風も無く快適、ゆっくりと熟睡できた。
稜線のサイトはほぼ一晩中、強風が吹き荒れていただろうから雲泥の差だろう。
【AM3:30】
この日は4時の出発に備えて、午前3時前には起床。
期待を込めてテントの外を覗くが
「相変わらずのガスガス・・・」
本来ならすぐに荷物をまとめて出発する予定だったが、
テントの撤収を諦め、ゆっくりインスタントラーメンを温めて朝食。
(向かいのテントの人もチキンラーメン食べていました。山で食べるチキンラーメン最強・笑)
この日のプランは2つ用意していた。
①朝起きて天気が良ければ、テント背負って北岳登頂後に間ノ岳縦走。
八本歯のコルを経由して、そのまま下山。当初の計画である。
②朝天気が悪ければ、ここにテントを残して北岳・間ノ岳をピストンして
テント撤収後に草すべりを経由してもと来た道を戻るルート。
「天気悪いから、これはもうプラン2だな。。。」
【AM4:30】
山頂での御来光のために淡い期待を持ちながら、4時にテントを出発。
北岳山頂までは約40分の道のり。荷物はアタックザックの軽い荷物なので楽だが
日の出時間も近くなり若干明るくなってきたものの、景色真っ白。
「あれが山頂か?」
【AM4:40 北岳山頂 到着】
日本第2位、標高3193mの北岳山頂に到達
「なんも、見えね~!」
前日に天気悪くても、日の出時刻頃に急に雲が晴れる場合もあるのですが、
この日は完全に「Bad Day バッドデイ」でしたね。
プラン②にはオプションを用意していた。
選択肢としては、このまま間ノ岳を縦走するプランと
間ノ岳縦走を諦めて肩ノ小屋に戻り、テントを回収して下山するプラン。
今回の目的は北岳登頂のほか、間ノ岳縦走も目的としていただけに悩むところ。
その時、間ノ岳方面から一人の登山者が山頂に上がってきた。
その登山者はどこかテレビで拝見した事がある方だったので、お声掛けして少し話しました。
彼は日本一過酷と言われる山岳レース「TJAR」(トランス・ジャパン・アルプス・レース)の完走者。
今日は農鳥岳を午前2時半に出発して、わずか2時間で北岳山頂まで辿り着いたところ。
レースのトレーニング中で、この後は鳳凰三山に向かわれるとの事でした。
「いったいどんなコースタイムで歩いているんですか!?」
私も感心する事しきりでありましたが、
トレーニング中のため、その選手はすぐに肩ノ小屋方面に向けて下山していきました。
彼は私とは同年代。そんな彼がこんな悪天候の中、暗いうちから登ってきたのか・・・
そんな話を聞いた後の私の選択肢は・・・
「今日は天気悪いし、このまま下山しよ。」
「彼とは技術も体力も全く違うし、ましてや目指しているところが大きく異なる・・・」
私もNHKの「グレートレース」や「グレートトラバース」は大好きで良く見ているので
実際に選手の話を聞けて、とても嬉しかったです。
撤退を決めたので、山頂で暫くのんびりする事に。
景色真っ白ですが、幸い雨は降っていませんでした。
山頂の岩場に咲いている高山植物の写真を撮ったり、
続々と山頂に上がって来られる方の記念撮影をしてあげたり、
なんだかんだで1時間ほど山頂に居ましたが、天候の好転は無さそうですね。
「今日は、諦めて下山しますか」
【AM7:10 肩ノ小屋テント場 撤収開始】
山頂からの下山はスイスイと30分程度で下りてきた。
残念だが、もしあのまま間ノ岳へ向かっていても結構ハードな行程になっていたと思う。
「テント場からの綺麗な景色も見たかったけどなぁ~」
【AM7:40 肩ノ小屋 下山開始】
さっさとテントを片付けて、肩ノ小屋をあとにする。
「北岳に来ただけ。」
肩ノ小屋の看板は、この日の登山者の合言葉になってました。
皆さん山頂に到着しては真っ白な景色を目の前に、この言葉を口にしていましたよ。
山小屋の人も悪気は無いのでしょうが、ナイスセンスです(笑)
【AM8:15】
下山途中の正面に「鳳凰三山」が見える。
あれが地蔵岳の「オベリスク」かな?
鳳凰三山も縦走してみたい、お山ですね。
【AM9:00】
「草すべり」通過中。たくさんの登山者が登ってくる。
と、ここで落石発生。
「ら~くっ!」 と言う大きな声とともに、上方から石が転がり落ちてくる。
石の大きさは直径30cmのヘルメット大。声に気付いた時には
頭上30mほど上から勢いよく転がり落ちてきて、私の前方3mほどを通過していった。
「掛け声なかったら、危なかったかもね。。。」
その後も10分もしない内に2度目の落石。
これも同じぐらいの大きさで、だいぶ下まで転がり落ちて行った。
この日は登ってくる登山者多数、下山する人も多数で、双方の行き違いにだいぶ気を使った。
登ってくる人は急登による疲労、下山する人は少し焦りもあるのだろうか。
「慎重に行動してても、落石は起るんですね」
草すべりは九十九折りの登山道なので、下の登山道の方にも「ら~くっ」の声を叫んだが
幸い負傷者は出ていなかったようだ。
【AM9:40 白根御池 到着】
長い「草すべり」の下りの末、ようやく白根御池に到着。
振り返ると、北岳山頂付近はまだ雲の中の様子。
下ってきた「草すべり」の登山道を登っていく沢山の登山者の姿も確認できる。
【白根御池】
昨日とは違い、白根御池には青空が広がっている。
池の畔の説明文を読んでみると、白根御池は竜神の神様を祀っているところで
ここの神様は「雨乞いの神様」らしい。
「次回はここで晴天を祈ったほうが良いのかな?」
(それとも、何もせずに通過すべきか?)
【白根御池小屋】
この日は白根御池小屋も登山客で一杯。夏山シーズンの到来。
ここまで下りてくると堪らぬ暑さに、アイスクリームを頂く。
昨日の登山では強風による寒さに震えていたのに、この日は猛暑で滝汗。
「アイスクリームが美味い!」
【PM12:40 広河原登山口 到着】
肩ノ小屋からちょうど5時間で広河原登山口まで無事、下山完了。
最後は猛暑と長い下りで、身体クタクタ・・・。
【PM13:00 広河原山荘前】
この日、車を停めている芦安駐車場行きのバスは14時発。
少しバスを待とうと思ってたけど、ちょうど乗合タクシーが停まっていた。
乗合タクシーは時間に限らず、乗車人数が揃えば発車してくれる。
芦安駐車場までは一人1500円。バスと違って必ず座れるのでお勧め。
おかげで予定より1時間以上早く、山を下りる事が出来た。
広河原から眺める北岳山頂は依然として雲に覆われていた。
今日から翌日にかけて天気が回復する予報。
「明日の山頂からは素晴らしい景色なんだろうなぁ」
少し後ろ髪を引かれながら、帰宅の途についた。
「北岳、またリベンジに登りに来よう!」
おしまい。
前日は日没前に就寝。
肩ノ小屋まで上がってきてもauの電波は弱く、スマホはほぼ役に立たず。
ガスで景色も見えないので、昨日の午後はほとんど何もすることが無かった。
それでも、テントを張った場所は風も無く快適、ゆっくりと熟睡できた。
稜線のサイトはほぼ一晩中、強風が吹き荒れていただろうから雲泥の差だろう。
【AM3:30】
この日は4時の出発に備えて、午前3時前には起床。
期待を込めてテントの外を覗くが
「相変わらずのガスガス・・・」
本来ならすぐに荷物をまとめて出発する予定だったが、
テントの撤収を諦め、ゆっくりインスタントラーメンを温めて朝食。
(向かいのテントの人もチキンラーメン食べていました。山で食べるチキンラーメン最強・笑)
この日のプランは2つ用意していた。
①朝起きて天気が良ければ、テント背負って北岳登頂後に間ノ岳縦走。
八本歯のコルを経由して、そのまま下山。当初の計画である。
②朝天気が悪ければ、ここにテントを残して北岳・間ノ岳をピストンして
テント撤収後に草すべりを経由してもと来た道を戻るルート。
「天気悪いから、これはもうプラン2だな。。。」
【AM4:30】
山頂での御来光のために淡い期待を持ちながら、4時にテントを出発。
北岳山頂までは約40分の道のり。荷物はアタックザックの軽い荷物なので楽だが
日の出時間も近くなり若干明るくなってきたものの、景色真っ白。
「あれが山頂か?」
【AM4:40 北岳山頂 到着】
日本第2位、標高3193mの北岳山頂に到達
「なんも、見えね~!」
前日に天気悪くても、日の出時刻頃に急に雲が晴れる場合もあるのですが、
この日は完全に「Bad Day バッドデイ」でしたね。
プラン②にはオプションを用意していた。
選択肢としては、このまま間ノ岳を縦走するプランと
間ノ岳縦走を諦めて肩ノ小屋に戻り、テントを回収して下山するプラン。
今回の目的は北岳登頂のほか、間ノ岳縦走も目的としていただけに悩むところ。
その時、間ノ岳方面から一人の登山者が山頂に上がってきた。
その登山者はどこかテレビで拝見した事がある方だったので、お声掛けして少し話しました。
彼は日本一過酷と言われる山岳レース「TJAR」(トランス・ジャパン・アルプス・レース)の完走者。
今日は農鳥岳を午前2時半に出発して、わずか2時間で北岳山頂まで辿り着いたところ。
レースのトレーニング中で、この後は鳳凰三山に向かわれるとの事でした。
「いったいどんなコースタイムで歩いているんですか!?」
私も感心する事しきりでありましたが、
トレーニング中のため、その選手はすぐに肩ノ小屋方面に向けて下山していきました。
彼は私とは同年代。そんな彼がこんな悪天候の中、暗いうちから登ってきたのか・・・
そんな話を聞いた後の私の選択肢は・・・
「今日は天気悪いし、このまま下山しよ。」
「彼とは技術も体力も全く違うし、ましてや目指しているところが大きく異なる・・・」
私もNHKの「グレートレース」や「グレートトラバース」は大好きで良く見ているので
実際に選手の話を聞けて、とても嬉しかったです。
撤退を決めたので、山頂で暫くのんびりする事に。
景色真っ白ですが、幸い雨は降っていませんでした。
山頂の岩場に咲いている高山植物の写真を撮ったり、
続々と山頂に上がって来られる方の記念撮影をしてあげたり、
なんだかんだで1時間ほど山頂に居ましたが、天候の好転は無さそうですね。
「今日は、諦めて下山しますか」
【AM7:10 肩ノ小屋テント場 撤収開始】
山頂からの下山はスイスイと30分程度で下りてきた。
残念だが、もしあのまま間ノ岳へ向かっていても結構ハードな行程になっていたと思う。
「テント場からの綺麗な景色も見たかったけどなぁ~」
【AM7:40 肩ノ小屋 下山開始】
さっさとテントを片付けて、肩ノ小屋をあとにする。
「北岳に来ただけ。」
肩ノ小屋の看板は、この日の登山者の合言葉になってました。
皆さん山頂に到着しては真っ白な景色を目の前に、この言葉を口にしていましたよ。
山小屋の人も悪気は無いのでしょうが、ナイスセンスです(笑)
【AM8:15】
下山途中の正面に「鳳凰三山」が見える。
あれが地蔵岳の「オベリスク」かな?
鳳凰三山も縦走してみたい、お山ですね。
【AM9:00】
「草すべり」通過中。たくさんの登山者が登ってくる。
と、ここで落石発生。
「ら~くっ!」 と言う大きな声とともに、上方から石が転がり落ちてくる。
石の大きさは直径30cmのヘルメット大。声に気付いた時には
頭上30mほど上から勢いよく転がり落ちてきて、私の前方3mほどを通過していった。
「掛け声なかったら、危なかったかもね。。。」
その後も10分もしない内に2度目の落石。
これも同じぐらいの大きさで、だいぶ下まで転がり落ちて行った。
この日は登ってくる登山者多数、下山する人も多数で、双方の行き違いにだいぶ気を使った。
登ってくる人は急登による疲労、下山する人は少し焦りもあるのだろうか。
「慎重に行動してても、落石は起るんですね」
草すべりは九十九折りの登山道なので、下の登山道の方にも「ら~くっ」の声を叫んだが
幸い負傷者は出ていなかったようだ。
【AM9:40 白根御池 到着】
長い「草すべり」の下りの末、ようやく白根御池に到着。
振り返ると、北岳山頂付近はまだ雲の中の様子。
下ってきた「草すべり」の登山道を登っていく沢山の登山者の姿も確認できる。
【白根御池】
昨日とは違い、白根御池には青空が広がっている。
池の畔の説明文を読んでみると、白根御池は竜神の神様を祀っているところで
ここの神様は「雨乞いの神様」らしい。
「次回はここで晴天を祈ったほうが良いのかな?」
(それとも、何もせずに通過すべきか?)
【白根御池小屋】
この日は白根御池小屋も登山客で一杯。夏山シーズンの到来。
ここまで下りてくると堪らぬ暑さに、アイスクリームを頂く。
昨日の登山では強風による寒さに震えていたのに、この日は猛暑で滝汗。
「アイスクリームが美味い!」
【PM12:40 広河原登山口 到着】
肩ノ小屋からちょうど5時間で広河原登山口まで無事、下山完了。
最後は猛暑と長い下りで、身体クタクタ・・・。
【PM13:00 広河原山荘前】
この日、車を停めている芦安駐車場行きのバスは14時発。
少しバスを待とうと思ってたけど、ちょうど乗合タクシーが停まっていた。
乗合タクシーは時間に限らず、乗車人数が揃えば発車してくれる。
芦安駐車場までは一人1500円。バスと違って必ず座れるのでお勧め。
おかげで予定より1時間以上早く、山を下りる事が出来た。
広河原から眺める北岳山頂は依然として雲に覆われていた。
今日から翌日にかけて天気が回復する予報。
「明日の山頂からは素晴らしい景色なんだろうなぁ」
少し後ろ髪を引かれながら、帰宅の途についた。
「北岳、またリベンジに登りに来よう!」
おしまい。
Posted by god-field at 00:50│Comments(0)
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